先日、宗教学の教授に勧められて、フロイトの『モーセと一神教』の英訳(trans. K. Jones, "Moses and Monotheism")を買いました。原著はドイツ語ですが、片手間にドイツ語を読むほどの力がないので、英語の勉強を兼ねて英訳に挑戦することに。恥ずかしながら私は教養がないため、この本をこれまで読んでこなかったのですが、この本はあまりにも有名なため、皆さんはすでに読了済みのことと思われます。なので内容についてはこの記事では触れません。それは後ほど。
↑フロイト著、K・ジョーンズ訳、『モーセと一神教』
今Part1を読み終えて、Part2に入ったのですが、そこではモーセについて次のように書かれていました。
聴覚障害者の礼拝はどのように行う
he was also their low-giver and educator and the man who forced them to adopt a new religion,
一見するとどうってことないモーセの紹介文ですが、引っかかる人は引っかかると思います。なぜここでモーセの役割が三つに分割されているのでしょうか?この分割方法はいったいどこから来たのでしょうか?
① the low-giver
② the educator
③ the introducer of a new religion
実はこれら三つの役割は、必ずしも聖書の内容にしたがったものではありません。というのも、聖書はモーセの役割をこのようにキッチリ分割していないからです。読み方によっては確かに、モーセはヤハウェ一神教の導入者ですが、聖書それ自体はヤハウェ崇拝を「新しい宗教」とは呼んでいませんし、モーセを「開祖」とも呼んでいません。
私は上の三つの分類は間違っていないと思いますが、ここで指摘しておきたいのは、そのような分類の仕方は、フロイトの時代の観念が反映されているということです。つまり、聖書ののぺーっとしたモーセの物語を読んで、そこに法、教育、宗教という大きな枠組みが見えてくる、と読み取るには、フロイトの時代メガネが必要であ るということです。
フロイトの『モーセと一神教』は、モーセ物語を理解する一助になると同時に、フロイトの時代の人々(ヨーロッパ人?)の観念を理解する助けにもなると思いました。あるいは、ヨセフス(後一世紀のユダヤ人著作家)のフロイトへの影響を読みとれるかもしれません。フロイトはヨセフスの著作を参照しているからです。ヨセフスがモーセを法授与者として描いていることは見逃せません。
↑ヨセフス著、『ユダヤ古代誌』
ちなみに、私は旧約聖書の出エジプトの物語は完全なるフィクション、さらに言うと、出来の悪いフィクションだと考えています。
-BANGIO
These are our most popular posts:
213. 『モーセと一神教』|ロータスの香り The Scent of Lotus
自分の身の回りにあることについて気付いたことや考えたことを書いています。 バスケットボール ... H.I.S. 旅ブロ. お得な旅行情報が満載、旅の体験記や写真の公開 ならここ! ... 今Part1を読み終えて、Part2に入ったのですが、そこではモーセについて 次のように書かれていました。 ... なぜここでモーセの役割が三つに分割されているの でしょうか? read moreヨシュア記
人間的には、神のなさることは理不尽に映りますが、ここにも神の意図が隠されています 。 聖書的には、モーセは律法 .... 紅海の時は、モーセが紅海の上に手を差し伸べると、 海の水が分かれました(出14:21)。 ..... イスラエルの人々は御言のとおり行いました。 read more民数記19-21章
コラがモーセとアロンに反逆し、イスラエルの民もそれに同情し、それに対して神は裁き を下されました。 ... これまで私たちがレビ記において見てきた、いけにえや清めの教えを 思い出せば、ここで主が命じておられることの理解は難しくありません。 ... につけられ、 血を流されましたが、その血が注がれる時に私たちは肉体という外側ではなく、良心から 清めてくださり、それで肉体の行いを改めることが .... 以前お話ししたように、ガリラヤ湖 、ヨルダン川、死海、そして紅海には地溝が走っており、大きな渓谷のようになってい ます。 read moreブログテーマ[ブログ]|ロータスの香り The Scent of Lotus
2012年4月15日 ... お得な旅行情報が満載、旅の体験記や写真の公開ならここ! ... 今Part1を読み終えて 、Part2に入ったのですが、そこではモーセについて次のように書かれていました。 ... なぜここでモーセの役割が三つに分割されているのでしょうか? read more
0 件のコメント:
コメントを投稿